志摩脳神経外科クリニック

<5>明治時代

国政選挙

先日は衆議院選挙が行われました。皆様投票に行かれましたか?

個人的には大谷選手のワールドシリーズの方が盛り上がっていた印象ですが、わが国にとっては極めて重要な選挙ですのでぜひ参政権を行使しましょう。大物議員の落選や与党敗北など結果が出てから盛り上がったようにも思われました。

今の政治家がダメだとかいうわけではありませんが、最近は日曜夜にNHKドラマ「坂の上の雲」の再放送がありますので録画して観つつ、ついついあの時代の歴史的な人物と比較してしまいます。

 

「坂の上の雲」

この原作は司馬遼太郎氏による歴史小説です。戦国でも幕末でもない明治時代を描いた本作品が同氏の最高傑作ではないかと思っています。

簡単なあらすじを言うと、四国出身の正岡子規が俳句の道に進むかたわら、同郷の友人である秋山兄弟がそれぞれ陸軍、海軍の道に進み、最終的にその兄弟や軍人将校、政治家、外交官など多くの登場人物の活躍もあって日露戦争に勝利する、というストーリーです。

 

今、ウクライナとロシアが泥沼化した戦争を続けていますが、あの時代に日本とロシアが戦争していたわけです。

仮に今現在の日本がロシアと戦争をするなんて考えたら、狂気を想像しますよね?

あの時代は今以上に非現実的だったのではないかと思うのです。

なぜなら、ちょんまげ頭で抜刀して切りかかっていた時代から40-50年しか経過してないのです。ペリー1853年、大政奉還1867年、日露戦争1904年です。近代兵器を用いた帝国主義の外国軍隊と渡り合えるなんて想像できません。

 

明治の元勲

その「坂の上の雲」では(もちろんフィクションでしょうが)、伊藤博文がどうにかして戦争を回避する手段はないのかと必死に悩んでいました。

ロシアと戦争して負ければこの国は滅びます。ロシアにしてみれば「辺境の小さな蛮国がうるさいから誰かしずめてこい、俺たちは対ヨーロッパで忙しい」くらいのことだったのでしょう。

伊藤の種々の苦悩と各々の立場での思惑、ロシア国内でのスパイ活動、そして当時の世界一の帝国であったイギリスと対等同盟を結べたことの奇跡と歓喜。

歴史の教科書で「日英同盟」の一言で終わる出来事ですが、ロシアとの戦争前夜の明治政府にとってはかりしれない幸運な出来事のようでした。そこに至るまでの外交調整は並半端なものではなかったと想像できます。

 

維新の大久保、西郷、木戸らは大変な仕事をしてきたと思われますが、次世代の伊藤、山県、井上、従道、大山らもこの国を守るために必死だったと思います。

特に初代総理である伊藤は、豊臣秀吉・田名角栄と並んで地盤もカバンもない庶民足軽だったにもかかわらず才覚と運で日本のトップにまでなった人物ですので、もっと評価していい山口県の偉人だと思います。

 

戦争と平和

日露戦争は「日本が勝利した」と歴史では教えられますが、厳密には「ロシアに負けずに戦争を終結できた」という認識です。ロシアの主要な都市を占拠したわけでもなく、皇帝をとらえたわけでもなく、どちらかが降伏したわけではありません。局地戦を勝って「この辺でやめましょう」「そうだね」です。

ただ、外交も含めてそれぞれが最大の努力を尽くした最良の結果だと思います。

 

この偉大な先人たちの苦悩や熟慮を全く考えずに「日本は神風に守られているから負けない」「神国日本は必ず勝つ」などと言って一部の人間が暴走した結果、昭和戦争が起こりました。

 

そして今、裏金問題が焦点になっていた令和の選挙戦。とても平和だと思います。

ぜひとも国民のために熟慮して政治も外交も頑張っていただきたいと願います。

 


 

投票日の前日の土曜日に、当クリニックの上棟式と餅まきを行いました。雨が降らなくてよかったです。

たくさんのかたがたに参加していただきました。ありがとうございます。地域の皆様に愛されるように色々熟慮して努力してまいります。

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