医学・医療
<6>コラーゲンと読み書き
理科の問題
平成20年代のものだったと思いますが、某有名私立中学の理科の入試問題にこのような文面がありました。
「昨今、コラーゲンが豊富に含まれている食材を摂取すれば肌がきれいになるという広告を目にするが、これは間違いである。前述の代謝の設問をふまえて、なぜ間違っているか述べよ。」
中学入試ですからこれを小学生が記述して回答するわけです。小学生の進学塾でもたんぱく質の消化吸収の過程は扱う内容なので、偏差値70以上の子供たちにとってはそんなに難しい問題ではないのでしょう。
ただ暗記内容としてのペプシン・ペプトン・アミノ酸などはいいとしても「なぜ間違っているか」を言語化する能力はまた違います。
一応の解答例を記しますと
「摂取したコラーゲンがそのまま肌の細胞に届いてコラーゲンになるわけではなく、胃と腸の消化酵素によってアミノ酸(という血液で運ばれるレベルの小さな物質)に分解され、そのアミノ酸は腸から血管の中に吸収されて全身の細胞に決まった割合で届けられるので特に肌がきれいになるということにはならない。」
実際にはコラーゲンペプチドだとかビタミンCが必要だとか十分な睡眠だとかツッコミどころはあるのでしょうが、本当にコラーゲンたっぷりの食材ばかり食べていたらカロリー過多の肥満になりそうです。
読み書きの能力
さきほど言語化、つまり作文は暗記と違って別の能力が必要ということを述べましたが、今の社会には文章を書いてくれる生成AIが登場しました。
お願いすれば子供の宿題である読書感想文だって書いてくれるわけです。タイトルだけ提示すれば長編小説も書いてくれるでしょう。
便利な世の中になりましたね。
今の子供たちは言われたとおり辞書を買うものの、実際にはスマホなどネットで検索して英単語や知らない言葉を調べていると思います。これからの時代は「いかに知っているか、書けるか」から「いかに素早く調べることができるか」になってきそうです。
懸念されるのは読み書きの能力の低下です。
文明が発達して便利になったから、現代人は虚弱体質になったと思っています。昔の人は東海道(江戸~大坂)を徒歩で移動するのが普通でしたから足腰も立派だったでしょう。現代でも意識している人は筋トレをして、筋肉にストレスをかけて鍛えていますよね。
読み書きも同じだと思っています。
右利きの人の95%、左利きの人の50%が左大脳に言語中枢があるといわれれています。できるだけ読書をして、できるだけ自分の頭で考えて言語化して作文をする。日ごろからそういうことをしていれば、読み書きの能力はなかなか低下しないと思われます。高齢者にとっては認知症防止に一役買うと思っています。
そうする方がその人にとって世界が大きく広がりそうです。
・・・・なのでこのブログもできるだけAIに頼らないようにします笑
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先日、クリニックの新規オープンに向けてスタッフの採用面接をおこないました。たくさんの応募ありがとうございました。
小規模のクリニックですので限られた人数しか採用できないことが心苦しいのですが、面接に来られた皆様は共通して眼がキラッキラッとしていました。希望に満ちた状態を維持できるように私も頑張りたいです。