医学・医療
<2>認知症は防げる?
老年にさしかかった患者さんたちから「認知症になるのは怖い、不安だ」という声をよくききます。
認知症は予防できるのでしょうか?
社会性
高齢になっても社会でバリバリ働いている患者さんはけっこうおられます。そういうかたがたに認知症の印象はありません。
対照的に専業主婦が認知症になりやすいかといえばそういうデータは存じませんが、普段から同じような単純作業を繰り返すだけよりは、いろんな状況でいろんなことに気を配って頭も使って、という環境の方がよさそうです。
つまり専業主婦やご隠居だとしても、社交的、活動的な方がいいのでしょう。
日常生活の危険因子
飲酒、喫煙、ネガティブ思考、社会的孤立、運動不足、難聴 は認知症になるリスクをあげるといわれています。
改善できるものは改善するべきでしょう。
両手指と頭を使う
脳トレやクイズもいいのでしょうが、両手の指を複雑に動かしつつ頭も使うようなピアノ、パソコン、ゲームなどは、脳の広い範囲で血流が増加することになるため認知症をおさえる可能性があります。
予防効果のある食材
青魚、緑黄色野菜、豆類、果物などが認知症のリスクを減らすといわれています。
特に最近はビタミンDの摂取が認知症のリスクを低下させると報告がありますので、朝日を浴びつつ鮭も含めた魚類の摂取がよさそうです。
脳の老化
神経細胞は身体のほかの細胞と違って、細胞分裂をして増えることはありません。
ただ、減るだけです。
では生きていればだんだん減って脳細胞がなくなるのかといえばそれも違って、もともとの細胞の数が非常に多いのでそこまでに至ることはありません。
問題は神経細胞の数が減ることより、老廃物がたまることにあります。
細胞分裂する他の細胞はそういうことになりにくいのですが、脳などの神経細胞には認知症を引き起こすようなたんぱく質が老廃物としてたまりやすいと思ってください。
それでも神経細胞自身で老廃物を処理するわけですが(これをオートファジーと呼びます)、加齢とともにその能力が低下します。なので加齢は認知症の危険因子といえます。
空腹のチカラ
さらにそのオートファジーという自浄作用は、空腹時に活発になるようです。つまり、空腹が脳を洗浄しているわけです。
一日16時間断食するような生活がいいと話題になったこともありますが、それなりに理屈があるようです。
逆に、おなが少しでもすけば何かを食べるような生活ではオートファジーがあまり生じませんので、脳に老廃物がたまり認知症になりやすくなります。
なお、糖尿病のかたは認知症になりやすいとデータがあります。これは実臨床でも感じていました。
おなかがすいてひもじいと思っても、空腹は脳を洗っていると思いましょう。美容にも集中力アップにもいいといわれています。
結果、生活習慣病も改善するかもしれませんよ?
通院されている患者さんたちに随時開業のお知らせをしているのですが、多くの患者さんが今より遠くなっても新規クリニックへの通院を了承いただいています。本当にありがたく思っています。