医学・医療

<36>食欲と糖質に勝とう

食べ過ぎに注意

さてさて夏が過ぎて食欲の秋ですね。来ましたねぇ

当クリニックに脳血管障害で通院中の患者さんたちには日頃から申し上げていますが、食べ過ぎはダメです。

特に、糖質。パン・めん・お米・甘いもの。

糖尿病になると脳血管障害(脳卒中)になりやすいうえ、認知症にもなりやすいです。

眼・腎臓・神経が侵されることが有名な糖尿病ですが、心臓や脳にも悪影響を与えます。

若いころと同じ内容・同じ量の食事を続けていくと、中年以降は太ってしまいます。

ラーメンやハンバーガーは天敵なんですよね。おいしいのは知っていますが。

若いころに履けていたズボンが履けなくなったのは中年太りだと笑い話にしてしまいそうですが、実際は本来の必要以上にカロリーを摂取してしまっているから余ってしまい、脂肪として貯蓄されたからです。

筋肉量、運動量、代謝の変化などから「そこまで食べなくてもいい」体なのに、同じように食べてしまっているのです。

さらに、体重が増えれば腰や膝など整形外科疾患に苦しむ確率があがるうえ、睡眠時無呼吸症候群にもなりやすく、それがまた種々の疾患の引き金になります。

血圧の薬を飲んでいるから安心?

食べ過ぎて、糖質過多であれば全く安心できません。

そもそも血圧の薬すら効きにくくなります。

やはり糖質がいけないようです。逆に油は採ってもかまわないという学説が出てきています。それはまた別の機会に。

食欲とは

人間の食欲というのは単に「おなかがすいた」という感覚だけでなく、脳やホルモン系、心理的なことなどがかみ合って発生します。

血糖値が低下すると、「グレリン」というホルモンが分泌されて脳の摂食中枢が刺激されます。これが生理的な食欲です。

食べたあとは脂肪細胞から「レプチン」、腸から「GLP1」などが分泌されて満腹中枢を刺激します。満腹感となります。

それとは別に、血糖値に関係なく「甘いものを食べたい」「ストレスでもっと食べたい」という脳内のセロトニン・ドーパミンが関わる報酬系の食欲があります。一度快感を覚えたあとにまた味わいたいと思うやつです。

「甘いものは別腹」とはよくいったものです。

つまりは、脳が本当に求めている食欲と、快楽のために求めている食欲。この二つがあります。

食欲にあらがうために

糖質をおさえつつ食欲をコントロールするには、その仕組みを逆手にとるのがいいのではないでしょうか。

①血糖値の急上昇をおさえる

 ・白米やパンよりも玄米・雑穀・オートミール

 ・野菜やたんぱく質を先に食べる。

  これにより急な血糖上昇とインスリン過剰分泌による「もっと食べたい感」をおさえます

②満腹シグナルを早めに出させる

 ・あたたかい汁ものを最初にとる。

 ・卵、鶏むね肉、豆腐、魚といった高タンパク質をとる。→レプチンが増えます。

 ・20-30回ほどよく噛む→消化管ホルモンが分泌しやすくなります。

  これらにより満腹中枢がはやめに点灯します。

③報酬系食欲には

 ・ストレスや疲労時には糖質に手を伸ばさず、散歩や深呼吸で気分転換を。

 ・どうしても甘いもの、ということであればせめて果物か高カカオのチョコを。ナッツでも。

 ・できれば本来の食事中にスマホやテレビを見ながらの食事をせず、

  食事に集中して脳への満足感を高めるべきでしょう。

糖質制限を続けるために

糖質を完全にゼロというのは困難ですが、朝食と昼食にはそれなりに取り入れて、夕食は極端に減らしてもいいでしょう。日中は活動してカロリー消費しやすいですが、夕食後に動かないのであればカロリーが余ります。

また、毎日甘いものを食べるのはよくないので、週末だけ「今週もよく働きました、ご褒美」として甘いものをとる、といったメリハリや工夫が必要と思います。

低糖質の食品、たとえばナッツやゆで卵、コンビニで売っているサラダチキンといったものを常備しておいて、糖質よりもそちらを優先するようにできればいいですね。

食欲は本能だけでなく、脳の快楽・報酬回路にも影響しています。その仕組みを知り、血糖上昇抑制・満腹中枢刺激・報酬系のごまかしなどを上手におこなえば、無理なく糖質をおさえながら食欲と付き合う生活がおくれるようになります。


開院してから半年が経過しました。

おかげ様で患者さんが増えてきて、スタッフ一同やりがいを感じています。

状態がよくなって笑顔になっている患者さんに会うと本当にうれしくなってしまいます。

難治性片頭痛の患者さん用の抗CGRP薬を多く使うようになり、まさか半年でこんなにも使用するとは思っていませんでした。

下関市内で使用できる医療施設が限られているのもあるのでしょうが、5年後にはこれくらい使うようになっているかな?と考えていた本数を今現在注文しています。

また、認知症の新薬である抗アミロイドβ薬に関しても、フォローアップ施設として当院にて使用が始まっています。引き続き適応患者さんがおられたら対応いたします。

半年が経過し、患者さんたちの声をきいて、予約システムのテコ入れを検討しています。

今は再診患者さんのMRIと脳ドックのみ予約ができるのですが、初診、再診、予防接種、注射点滴類も電話やネットで予約できるようにしようと思っています。もちろん、予約なしでの来院でも受診は可能です。

今後もよろしくお願いいたします。