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院長コラム
<38>ブラジル戦後に思うこと
30年の停滞と成長
ドジャースの野球中継を院内待合室にてネットで視聴できるようにしました。
やはりポストシーズンは国内でも米国でも盛り上がりますね。
短期決戦ゆえのドラマは面白いです。
面白いといえば
国内の政局も、国民のための政治なのか党利党略が優先なのか混沌としていますが、小説吉田学校令和版を呈している様相で、見守る分は面白いです。
どこかに肩入れしていたら疲れそうですが。
昭和時代からアップデートできていないような考え方の政治家や著名人の発言は、ネットでは叩かれています。
昨今の年代別投票先のデータやオールドメディア・ネットやSNSの論調を見るに、30年後は全く違う内閣になっていることでしょう。
これまでの「失われた30年」。
平成30年間の経済停滞は失政の結果である、というよく言われていますが、それを予測できなかったのは政治家や官僚、専門家だけの責任なのか、よくわかりません。
そもそもバブル崩壊後のショック期間にそんなことを予測して導ける人がいたら、逆に変人扱いされていた可能性が高いと思います。
結果、いろいろ必然だったと思いますが、30年の失敗を教訓として今後に生かしてほしいです。
ただその30年間に、研鑽を積んで成長をしていた日本の希望もありました。
サッカー日本代表
この記事を書いている前日にサッカー日本代表が親善試合でブラジルを0-2から逆転、3-0で劇的な勝利をおさめました。
練習試合とはいえ、相手は全勝しないと国民から避難されるようなサッカー王国です。
しいていえば、日本が野球でヨーロッパの国と戦うようなものです。勝って当然、負けたらどれだけ批判されるものか。
前回のワールドカップでのドイツ、スペイン。そのあとのテストマッチでのドイツ。今回のブラジル。
サッカーを少し知っている人であれば、その全てに日本代表が勝利すると誰が予測できます?
すごいですよねぇ
強くなりました。
そして、世界の人たちも「もしかして日本強い?」「実力つけた?」「強豪国の仲間入り?」
という、ちょっと以前とは違った見方をしているのではないでしょうか。
ジャイキリは痛快
ブラジルを破ったのはとても気分がいいのですが、直近のドイツとの試合も気持ちよかったですよね。
あれは、ワールドカップでドイツが日本に負けたものだから、ドイツによるリベンジマッチでした。
あの時は油断した。今度は違う。
ドイツがお金を出すから、ドイツに来て試合をしてくれ。ですよ?
考えられないですよ。日本代表がそんな待遇(普通逆でしょ)。
そしてアウェイに乗り込んで、3点差つけて勝ち、相手監督が解雇される騒動でした。
日本代表が強豪をやぶる姿は、親善試合でも感慨深いものがあります。
2000年代
私はJリーグ創設時より日本代表も見ていますので、ドーハの悲劇も当然知っています。
たまたま見ていた平塚での中田英寿のデビュー戦で、その選手の異質なボールタッチに驚いた記憶もあります。
ニワカながらもワールドカップではブラジルか西ドイツが勝つんだろ?って言ってたらその通りになったりしていました。
ワールドカップに初めて日本が出場を決めた岡野氏のゴールの時は、テレビの前で友人らと抱き合って喜んでいました。
日本がワールドカップの初出場のときは、「アルゼンチンは強豪だから勝てないかもだけど、それ以外はチャンスがある!」なんて、多くの日本人同様に期待していたと思います。結果、予選リーグ全敗という現実を突き付けられました。
2002年の日韓ワールドカップの時の盛り上がりは異常でしたね。
フラット3なつかしいです。
ただ、あの時もそのあとも、日本代表を応援はするけれども、あくまで「フロックでも何でもいいから決勝トーナメントに進んでくれい!」でした。
実力が世界とは離れているのを承知の上で、幸運を期待していました。
2002年当時、PS2だったでしょうか、サッカーゲームをやっていたのを覚えています。
そのゲームでチームの強さが、たとえばクラブチームならバイエルン=S、ドルトムント=Aなどと表記されるのですが、国別だと
Sクラスが ブラジル、ドイツ、フランス、イタリア、アルゼンチン
Aクラスが イングランド、スペイン、ポルトガル
Bクラスに メキシコ、アメリカ、ベルギー、ウルグアイなど
Cクラスに カメルーン、ナイジェリアなど
Dクラスに 日本や韓国
こんな感じだったと思います。
5段階評価で一番下。それが日本でした。
今同じゲームを作る人は、日本をBクラスくらいには入れてくれるかな?
成長した理由
個人的には、サッカー日本代表(いつからかサムライブルーという言い方もされてきましたが)は、直近20-30年で世界屈指の成長曲線を描いたと思っています。
これは必然なのか?
論理的に説明が可能なのか?
少し考えてみます。
この成長は単一の要素では説明できず、複数の要因が連動した結果だと思っています。
①Jリーグ創設により、需要と市場が作られて、クラブ育成文化が作られたこと(1990年代)
→ 選手供給の母集団が拡大
②日韓W杯後に育成指針が検討、整備されたこと。「個より組織」から「個も組織も」。
スペインやドイツなどの育成理論を日本人向けに統合(2000年代)
→ 小野や稲本らの黄金世代を超える、久保・富安・堂安などの世代が誕生
③欧州移籍の標準化
若年で欧州に移籍できるシステム。欧州で育ち、欧州の選手たちと競い合う経験が増えたこと。
→ 欧州基準のメンタル、フィジカル、戦術理解が標準装備に
さらに日本人に適した日本独自の戦術文化や理解を追求、相手によって戦術可変(2010年代~)
→欧州でつちかった勝者のメンタリティも成長。
名前で負ける相手に対しても、実際に欧州のクラブチームで戦っているので萎縮しない。
上記①が選手の量(競技人口)に影響し、
上記②によって選手の質も向上し、
上記③も連動して、戦術文化とメンタリティも向上
欧州所属比率がどんどん増加して、選手層が厚くなり、代表チームの国際競争力が向上。
「競技人口の爆発的増加と育成」「戦術理解」「欧州修行」の3つが結びついて時間をかけて成長したモデルであり、他国でも再現が可能だと思われます。これで論理的にも成長を説明できそうです。
今の他国がどうかといえば
例えば韓国は、欧州修行には足かせがあるようですし、闘争心やフィジカルは日本より上でも、戦術理解はどうなんだろう?と感じるところがあります。
クロアチアなんかは育成システムが日本のように国を挙げてのバックアップではないので、そういう面で成長力が伸びないと言われています。
アメリカは、科学的な育成や投資はすごいものがありますが、どうしても国民の大半が夢中になるスポーツではなくマイナーな競技に属するので、サッカー文化が根付きにくいという側面があるようです。
中国は人口が多いのが有利なのですが、国内リーグを立ち上げても、短期的商業利益と外国人スターに依存し、国内選手の高年俸で鎖国化してしまい海外経験不足。さらに汚職、八百長、政治介入などあって、構造が劣化してしまいました。そもそもチームプレイが苦手な国民性っていうのもあるのかもしれません。
今回は日本代表の成長のお話でしたが、自身や自身が所属するところでの育成、成長の参考になるところがあるかもしれませんね。長期的視点にたって考えたいものです。

開院時にお祝いで頂いたパキラです。上にも横にも伸びてます。
下関にて、頭痛・めまい・物忘れ・脳MRIなどは、志摩脳神経外科クリニックにてご気軽にご相談を。