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院長コラム
<39>脳疲労という現代病
脳疲労と日本人
スマホを開くと、ニュース、SNS、メッセージ、動画が次々と流れてきます。
便利になった一方で、私たちの脳は休む暇がなくなりました。
診察をしていると、「寝ても疲れが取れない」「何となくやる気が出ない」「頭がぼんやりする」と訴える患者さんが増えていると感じます。
その背景にあるのが「脳疲労」という現代的な問題です。
脳疲労とは、脳の情報処理中枢が常にフル稼働し続けることで神経のバランスが乱れ、回復が追いつかなくなった状態を指します。
特に前頭葉や大脳辺縁系といった感情や判断を司る部分が過負荷に陥ると、自律神経にも影響が及び、頭痛、肩こり、不眠、気分の落ち込み、便秘、下痢、動悸など、さまざまな症状を引き起こします。
医学的に見ても、脳疲労は「気のせい」ではなく、神経活動の偏りとして現れるものです。
さらに、日本人はまじめで責任感が強く、長時間労働や情報過多にさらされやすい国民性があります。
そのため、脳疲労を抱える人が特に多いといわれています。
実際、「過労死(Karoshi)」という言葉が英語として世界でも使われており、日本社会のストレス環境の厳しさを象徴しています。
海外では、働きながら眠そうな仕草を見せたら病気扱いらしいです。
かたや本邦は、国会議員が率先して居眠りしています。
この「眠い」、もしくは「つまらない」「飽きた」という感覚などは脳疲労のサインだったりします。
個人的には、片頭痛もあわせて考えると、世界中で日本の30代女性がもっとも脳疲労に陥っているのではないかとも思っています。
脳疲労の悪化と回復法
この脳疲労を悪化させる要因は、日常の中に潜んでいます。
スマホやパソコンを長時間見続けること、寝る直前までSNSをチェックすること、情報をマルチタスクで処理し続けること。さらに、運動不足や睡眠の質の低下、自然光を浴びる時間の減少も、脳のリズムを乱す原因になります。
脳が常に“ON”の状態では、休む機会を失い、慢性的な疲労へとつながっていくのです。
だいたい、SNSを開けば海外の人が何を食べたとか転倒したとか、どうでもいい情報がたくさん流れてきます。CMだってたくさん流れてきます。
このどうでもいい情報や、どうでもいい通知なんかも一個一個が全て脳疲労の原因になります。
一説によると400年前の人間が一生かけて脳に入れる情報を、現代人は2-3日で詰め込んでいるともいわれます。
しかし、人間の脳の構造は原始時代から変わりないはずです。
つまり、現代人の脳は簡単にオーバーヒートするリスクを抱えています。
脳を回復させるためには、意識的に「OFFの時間」をつくることが大切です。
1日30分でもスマホやテレビを離れ、静かな環境で過ごす。
深呼吸や軽い運動、散歩などで副交感神経を優位にする。夜の照明をやや落とし、就寝前のブルーライトを避けることも効果的です。
また、脳のエネルギー代謝や神経伝達を助けるビタミンB群やアミノ酸を取り入れることも、サポートになります。
脳疲労は、気づかないうちに少しずつ進行します。
大切なのは、早めに「脳を休ませる意識」を持つことです。
当クリニックの待合室は、明るい空間と静かで暗めの空間を分け、患者さんが少しでも安心して過ごせるよう工夫しています。
また、当クリニックではこうした脳疲労に警鐘をうながすべく、自由診療(保険診療外)による点滴療法を始めました。
神経やエネルギー代謝をサポートする「ニューロサポート点滴」と、抗酸化作用と回復促進を目的とした「ブレインリフレッシュ点滴」の2種類をご用意しています。
いずれも予約制で、保険診療と同日の施行はできませんが、脳の回復を補助する新しい選択肢としてご利用いただけます。
日々の生活の中で脳を酷使していると感じたときは、一度ご相談ください。
脳を整えることは、心と体を整える第一歩だと思っています。

撤去という噂がありましたが、下関市のランドマークとしての価値が高まって継続運用中の「はい!からっと横丁」大観覧車。
その奥には、もうすぐオープンの例のリゾートホテル。
海辺の散歩は肌寒くなってきましたね。
下関市にて、頭痛・めまい・頭部外傷・脳MRIに関することなどは、志摩脳神経外科クリニックにてご気軽にご相談ください。