志摩脳神経外科クリニック

<3>脳のバランス

「東大生の1/4はアスペルガーである」といった表現が数年前に拡散されました。全くエビデンスはないと思いますが、要は「学業成績はいいけれども社会性・コミュニケーション能力に欠ける学生が多い」ということでしょう。

東大に限らず、「あの人変わっているよね」と多人数から指摘されるかたがおられたら、そのかたは発達障害なのかもしれません。

空気が読めずに思いついたことを言ってしまう、集中力がすぐに切れてしまう、じっとできず手足を動かしたり動き回ったりする、忘れ物やミスが異常に多い、部屋の片づけが全くできない、などなど。

発達「障害」というからにはそういうマイナスの面が強調されがちです。

 

天才の土壌

しかし、そういう発達障害の人らが好きなこと・やりたいことにのめりこんだ場合の集中力や吸収能力はすざましく、あっと驚く結果を出します。

個人的に思うのは、天才と呼ばれる人はほぼ皆さん発達障害ではないだろうか、ということです。

たとえば織田信長は若いころにうつけと呼ばれていました。これは発達障害だったことを示唆します。

エジソン、モーツァルト、アインシュタイン、レオナルド・ダ・ヴィンチ、坂本龍馬にも発達障害のエピソードがあります。

マイケル・ジョーダン、スティーブ・ジョブス、ビル・ゲイツ、イーロン・マスクらは発達障害であることを公表していました。

ミスタージャイアンツも、帝京高校出身のお笑いタレントも、国内屈指のプロゴルファーも、世界に誇る日本人歌手の何人も、そういうエピソードがあります。

ここまでくると、有名人や世界が誇る大企業のトップは全員そうなんじゃないかと思ってしまいますね。

 

メンタルの問題

また、発達障害でよくきくのは二次障害と呼ばれるものです。子供であれば不登校ということになりますが、うつ病やパニックなど精神症状を引き起こしやすい面です。

最近でこそ、芸能人の精神疾患カミングアウトは珍しくありませんが、どうしてもイメージで売る世界なので秘密のことが多いでしょう。爆発的に売れた歌手がしばらく見ない間に、実はうつ病で苦しんでいた、決して幸福ではなかった、というケースが多く存在すると予想します。

つまり発達障害とは、とてつもない才能を発揮する可能性が秘められているかわりに、とても生きづらく不幸になる可能性も秘められているという諸刃の剣だったりするわけです。

ちなみにサヴァン症候群と呼ばれる概念があります。これは、ごく限られた特定の分野で通常ではありえないほどの突出した能力を発揮するものの、重度の精神疾患や知能障害を持っている人を指します。

 

脳のかたよりは遺伝する

発達障害の原因は環境ではなく遺伝によるものと言われています。ミスしやすい大人の子は不注意になりやすく、コミュニケーション障害の子はコミュニケーション障害になりやすいということです。

よって、天才の土壌も遺伝ということになりそうです。

・決して何かに突出しているわけでもないが、何かを欠けていることもないバランスのとれた脳。

・一部の能力に突出しているが、かわりにいくつかの能力が低下している脳。

そういう脳のかたより、バランスの話になります。

凡人の子は凡人の可能性が高いのですが、才能があれば幸福とは限りません。できる努力をしつつメンタルを壊さないように生きていくことが大事と思います。

 


 

真田広之さんプロデュース・主演の米国テレビドラマ「SHOGUN 将軍」が米国テレビ界最高の栄誉、エミー賞を受賞したというニュースを観ました。おめでとうございます。世界で最もよかったドラマだったという評価です。

私は視聴済みですが、西洋の人に理解できるだろうか?といった昔の日本のわび・さび、や様式美が印象的でした。海外の人からみれば日本の戦国時代なんて異世界の物語でしょう。

真田広之さんが受賞の挨拶で、長年日本の時代劇を培ってきた人らとともに祝いたいというニュアンスのことを言われていました。確かにそうですよね。その挨拶はとても感動しました。

 

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