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院長コラム
<25>子供のお勉強
皆様GWをいかがお過ごしでしょうか。休日を満喫する人もいれば、出勤して仕事をしている人もいるでしょう。勉強に精を出している学生さんもおられるでしょう。今日はちょっとお勉強のお話でも。
勉強はひたすら机に向かって長時間すればいい、というものではないようです。
例えば、感受性の豊かな子供時代には、旅行や社会体験で色々なことを見聞きする方が、のちのちの成績が伸びやすいというデータがあるそうです。
子供のころには、子供のころにしか楽しめない経験をしっかり積む必要があるということですね。
集中力・注意力
勉強しなきゃ、と思っていても集中力が持続できない学生さんはたくさんおられると思います。
どういう勉強法がその人に適切かは個人によりますが、自分の個室で勉強するよりも、親の目がある台所で勉強する方が多かった、というのを以前東大生のアンケートか何かで聞いたことがあります。
図書館しかり、自分ひとりだとついつい遊んでしまうからでしょうか。
ただ、台所で勉強する場合、視界にいろいろな物が入ってきますので気が散るかもしれません。それよりも、目の前が壁(学習机)の方が集中しやすい人もいるでしょう。
どの方法がその人に合っているか、試行錯誤する必要があると思います。
数学の問題を連続10問解くよりは、1問解いたら英語、英語を5分やったら別の教科、というふうに小刻みに勉強する学科を変更しながら集中力を続けさせる学生もいます。これはADHD(注意欠如・多動性障害)の傾向の子には有効でしょう。
実際に、英語の長文を目の前にしてだらだら2時間経過しても先に進めない、なんてことはあると思います。時間効率が悪いと思ったら、タイマーをセットしてその時間が来たらさっさと別のことをすべきでしょう。
そもそも1時間くらいぶっ続けで集中することは難しいと思います。
30-40分勉強したら5分休憩、というふうにメリハリをつける方がいいでしょうね。
なお、スマホは害だと認識していいでしょう。
「一日3時間以上スマホを見ていると明らかに成績が落ちる」とデータで証明されています。
ただ、親がスマホをずっと見ているような家庭では、スマホの見過ぎが良くないと子供に説明しても説得力に欠けますので、親御さんもお子さんの前でのスマホは必要最低限に抑える必要があります。
方法
勉強のやり方ですが、教科書や参考書に蛍光ペンやアンダーラインを引く方法は、全く効果がないことが証明されています。
ではノートに書いてまとめればいいのでしょうか?
ただ読むだけよりはマシですが、そこまで効果的でもないらしいです。
暗記の場合、答えを隠した状態でそれを言えるのか書けるのか?を確認する作業、アウトプットまでを確認することが最も有効です。
ただ、この作業は脳へのストレスがかなりかかります。
逆にいえば、脳にストレスをかけないと効率が悪いのです。
覚えてもまたすぐ忘れるでしょう。それに関しては、反復して暗記作業を行うことで忘れなくなります。
答えを隠して、それを思い出す。忘れていたら再度インプットして、後日再確認する。
これの繰り返しになります。
楽しくなれば
しかし、脳へのストレス、というのがネックになります。
人間は基本的に脳にストレスをかけない方に傾きます。娯楽のテレビにしても、何も考えなくて延々と見ることができる動画にしても。
本能的にそっちに傾くようになっているようです。
なので、脳にストレスをかけるということは、重力に打ち勝ち続ける必要があります。
それは現実的にはしんどいことなのですが、しんどくなくなる方法として「習慣化」「楽しみに変換」があります。
「習慣化」についてはまた別の機会で述べますが、要は「入浴する」「歯磨きをする」レベルで、運動や勉強も習慣化すれば苦痛に感じず、むしろやらないと気持ち悪くなる、という考えです。筋トレやジョギングなどしている人は理解できるでしょうか。
「楽しみに変換」は、問題が解けたことで勝負に勝ったかのように喜ぶ、楽しむ、という考えです。また、親御さんや同級生から「すごいね、よくできたね」と言われたくて頑張る子もいるでしょう。
「勉強が楽しい」と思えることが最強です。好きなスポーツや音楽、趣味を楽しいからする、というのと同じ考えでです。
しかし、現実的には「勉強が楽しいわけがない」と、まるで野菜が嫌いな子供のような発言を聞くことの方が多いでしょう。
よって、親御さんの立場からすれば、お子さんの成果(テストの成績など)をみて、全体が悪くてもどこか褒めるべきところを褒めてお子さんの承認欲求を満たす、という作業がそれに近づけるようになる手法かもしれません。
遺伝
親の能力が遺伝する、ということを考えると、その子の成績には限界があるのでは?という問いがあるかと思います。
それはその通りと言わざるを得ません。これは残酷なほど正解だと思っています。
しかし、だから勉強しない、というのは暴論でしょう。
なぜなら勉強をすべきだからです。
なぜ勉強をしなければならないのか?という問いには、いくつかの答えがあると思います。
・人生のいくつかの分岐点で正しい選択をできるようにするため
・豊かに過ごせるツールを手に入れるため(勉強しているとみている世界、楽しめるものが違う)
・学歴社会に対応するため
・職業選択の幅を拡大させるため
・人生の勝ち組になる確率を上げるため
・詐欺やそれに近い商売に騙されないようにするため
ほかに理想的な回答もありそうですが、勉強はしていて損はないですし、「もっと勉強しておけばよかった」という大人のボヤキはいつの時代にも聞かれます。
こういう言い方をすると怒られるかもしれませんが、人生を一つのロールプレイングゲームと仮定しますと、
そのプレイヤーの初期能力値をどんどん効率よく上げていくのが学生時代の勉強に相当し、のちのちの大冒険が非常に有利になるようにする。人生という大冒険を有利にかつ楽しめるようにするため、若いうちに勉強をしておく、という認識でいかがでしょう?
「小倉の祇園」と並び称される人の多さで有名な「関の先帝」。
天気に恵まれてよかったですね


