医学・医療

<51>宇宙人は身近にいる?

寄生獣

岩明均氏による『寄生獣』という漫画があります。

1990年代の作品ですが、今なお高い人気を誇る名作です。

物語では、宇宙から飛来した多数の寄生生物(パラサイト)が人間の頭部に侵入し、その人間の身体を乗っ取ります。そして、人類を捕食する恐ろしいモンスターとなっていきます。

主人公の高校生・泉新一も寄生されますが、偶然にも寄生生物は脳に到達できず、右手だけに寄生します。

その結果、右手は超人的な能力を持ちながらも人格は保たれ、人類を襲うパラサイトたちと戦うことになります。

最近のアニメや漫画でよく見られる、

「怪物に対抗するため主人公も怪物の力を得る」

という物語の先駆けともいえる作品です。

この作品のタイトルである「寄生獣」とは何か?

宇宙から来た寄生生物や、それによって生み出されたモンスターたちのことだと思われていました。

しかし物語を最後まで読むと「寄生獣」とは、地球という環境に依存して生きながら、その環境を破壊し続けてきた人類のことでした。

単なるホラーアクションでなく、そういうテーマも沿って話が進んでいきました。

さて、この物語の寄生生物は宇宙からやって来ました。

もちろんフィクションです。

しかし実は現実にも、

「もしかすると宇宙から来たのではないか」

と真面目に議論された存在があります。

それがウイルスです。

ウイルスが宇宙由来である?

ウイルスが地球外生命体ではないのか?と議論された経緯ですが、そもそもウイルスがかなり特殊な存在だから、というのがあります。

どこが特殊なのか?

ウイルスは細胞を持ってないのです。

地球上の生物と呼ばれるものは、細胞で形成されています。

人も動物も植物も昆虫も、アメーバや細菌(バクテリア)まで、細胞で構成されています。

ウイルスは細胞がないのです。

そのため、自分で栄養を取り込むこともできません。

自分でエネルギーを作ることもできません。

細胞呼吸もしません。

極端に言えば、ウイルスは「遺伝子を包んだ小さな粒子」のような存在です。

人間や動物の細胞の中に入り込み、その仕組みを利用して初めて増えることができます。

自力では生きていけません。

まるで他人の家に勝手に入り込み、その設備を使って生活しているようなものです。

このようにウイルスは、他の生物とはあまりにも違っています。

そして宿主の生物にとって悪影響でしかないと考えられてきたウイルス。

この起源は宇宙なのではないか?

そう考える人がいても不思議ではありません。

ウイルスと細菌

ウイルスと同じような微生物として、細菌(バクテリア)があります。

これを混同している人が多いと思いますが、実は全く違うものです。

細菌は生物です。細胞からできています。

自分で栄養を取り込み、自分でエネルギーを作り出し、自分で増殖します。

肺炎や膀胱炎などの原因になり、抗菌剤・いわゆる抗生物質により死滅したり増殖能を低下させたりします。

一方ウイルスを死滅させる薬剤は存在しません。

インフルエンザウイルスや帯状疱疹などヘルペスウイルスの薬は存在しますが、あれらはあくまでウイルス増殖にブレーキをかけるだけです。ウイルスを死滅させる効果はありません。

増殖ブレーキをかけるから、その間に自分の免疫力で頑張って! という治療です。

風邪もウイルスによる疾患ですが、風邪薬だって症状をやわらげるのみでウイルスを撃退する薬ではありません。

つらい喉や鼻、熱などの症状をやわらげているあいだに、自分の免疫力で、もっといえば時間が解決してね、という治療です。

(ですから風邪に対して抗菌剤、というのは現代医療では論理的でない治療法といえます)

細胞を持たない特殊な生命体ウイルス。

地球上のほかの生命体と全く構造が違うウイルス。

宿主がいないと生存できない生命体ウイルス。

いや、生命体と言っていいのか?

やっぱり宇宙由来なのでしょうか?

ウイルスの起源は?

現在では、ウイルスが宇宙から来た生命体である可能性は低いと考えられています。

その理由の一つは、ウイルスが地球上の生物とあまりにも深く関わっているからです。

例えばインフルエンザウイルスは鳥や豚、人間に感染します。

ヘルペスウイルスは脊椎動物と長い年月をかけて共進化してきたことが分かっています。

つまりウイルスは突然現れた存在ではなく、地球上の生物とともに進化してきた痕跡を持っているのです。

さらにウイルスの遺伝子を調べると、多くの部分で地球上の生物との関連が見つかります。

そして驚くことに、人間のDNAの一部は大昔のウイルス感染の名残であることも分かっています。

もしウイルスが全く別の宇宙生命体であるなら、ここまで地球の生物と深く結びついていることを説明するのは難しいでしょう。

そのため現在の研究者の多くは、

「ウイルスも地球上で進化してきた存在」

と考えています。

人類のDNAにウイルスの痕跡が大量に残っている

むしろ私たち人類は、太古のウイルスの影響を受けて進化してきた。

そういう考え方もあります。

仮に古代からウイルスがいたとしても、そのウイルスは隕石に付着してきた地球外のものではないのか?

という疑いは捨てきれません。

しかし、それを言えばですよ

そもそも地球上の生命はどうだったんだ?て話です。

最初の生命体と思われる細胞・細菌が地球上で生まれたのか、宇宙由来なのかわかりません。

その最初が進化していき現代の生物地図になったわけですから。

結局、起源がわからない。それはそれでミステリーであり、ロマンでもあります。

わからないこと

私は脳神経外科医ですが、脳についても似たようなことを感じます。

脳の神経細胞の働きはかなり解明されてきました。

MRIで脳の構造を見ることもできます。

しかし、

「意識とは何か」

「記憶はどのように保存されるのか」

「なぜ片頭痛が起こるのか」

「なぜ認知症になるのか」

など、ある程度解明している部分があれど、完全にわかってないこともたくさんあります。

科学というのは、分かったことを積み重ねる学問だと思われがちです。

しかし実際には、わからないことだらけです。

ウイルスの起源も、生命の起源も、脳の仕組みも。

人類は多くのことを知りましたが、まだ知らないことの方が多いのかもしれません。

100年前、500年前の人間が知らなかったことを私たちは知っています。

そして、知らないことを知りたいという思いは、人間の純粋な本能です。

今から100年後、500年後の医学書がどうなっているのかとても知りたい、

なぜなら今でも医学はまだ発展途上だからです。


クリニックの清掃、床ワックス掛けが終わり、何だか嬉しくなりました。

やっぱり整理整頓、掃除はいろいろプラスに働きますよね。

下関市にて、頭痛・めまい・物忘れ・頭のMRIなどでお困り、ご相談があれば、ぜひ志摩脳神経外科クリニックをご気軽にご利用ください。